これはずっと前に読んだことがあるはずなのだが、最後の何篇かは読んだ覚えがなかった。
と思ったら、わたしが以前に読んだのは、台湾で出版された1976年版のもので、『哭泣的駱駝』をはじめとする数篇は後に大陸で『撒哈拉的故事』と合わせて一冊の本として出版されたようだ。
『撒哈拉的故事』の最初のほうの短篇は軽い感じのものが多いが、最後に付け加えられた数篇はシリアスな内容のものになっている。特に最後はスペイン領だったサハラ砂漠に独立運動が巻き起こり、スペイン人の妻だった三毛には、個人的には心が通じ合うサハラウィ(サハラの原住民)の友人もいたが、彼女も含めてスペイン人はサハラウィの憎しみの対象になっていくのである。
親しく付き合いをしていたサハラウィの子どもが戯れに「ホセを殺せ、三毛を殺せ」と無邪気に言う様子には鳥肌がたった。なんだか今中国で生活している日本人のわたしたちのようで。
ほかに『哑奴』もよかった。スペイン人にもサハラの原住民にも人間扱いされない奴隷の聾唖の男性と、三毛とホセは対等に付き合い、友情を深めていく。しかし、その男性は奴隷であるがゆえに大切な家族と引き離されて遠方に売られることになる。売られていく日に、手足を縛られた奴隷の男性が、三毛が与えた毛布とお金を子どもと妻に渡そうと必死で家にたどり着くくだりには本当に胸が締め付けられた。同時に、人の幸せってなんだろうと考えさせられもした。人としての最低限の尊厳もない中でも、愛情ゆたかに生きて、得られる幸せって?
〇今日は午前中は4コマ授業。お昼から学生のノートを見て、帰宅してからコンテストの学内予選の録音を聞いて。世間から見たらそんなにたいへんでもない一日なのに、たいして幸せでもないわたしは人徳が足りないんでしょうね。
