先学期、仏学院を卒業した二人の学生はいま紹興の仏教施設でまた学生をしているらしい。
日本語学科責任者の法師の話では、仏学院に残ってゆくゆくは自分の後継者として教師になってほしかったのだが、引き留めたにもかかわらず、行く先も言わずに去って行ってしまったのだという。さらに、その学生二人はこれからは日本語とはかかわりのない道を行くらしいのだとも。そのことで、法師は非常に落胆していたようだった。
それから、また別の日に会った時に、法師は「二人はどこか遠くに行ったのかと思っていたら、なんと紹興にいるのだいうこと知った。自分には知らせなかったが、他の人の多くにはそのことを言っていたようだ。この間、そのうちの一人が用事があって仏学院に来たが、自分には連絡もせずに来て、挨拶もしないで帰っていってしまった」と話していた。
わたしが「ウィチャットでこちらから連絡してみたらどうなんですか」と聞くと、「もう会いたくないと思っているかもしれないから」と。
その後、仏学院をわたしに紹介してくれたうちの大学の先生に聞いたら、その人も卒業生二人が紹興にいることを知っていた。
授業の間の空き時間にすることもなかったので、わたしはウィチャットでそのうちの一人に連絡してみた。「こんなに近くにいるとは知りませんでした。いつか遊びに行ってもいいですか」と書くと、すぐに「ぜひ来てください。こちらで泊まる場所も手配するから、ゆっくりしていってください」との返事。泊まる話は断ったが、そのまま、あっという間に今度の日曜日にうちの大学の先生と紹興に行くことがきまった。
なんだか複雑な気持ち。なんとなくこの二人の学生が法師を煙たがっていることは知っていたが、わたしが思っていたよりももっと折り合いが悪かったのだろうか。
わたしとうちの大学の先生で紹興に行くことは法師には内緒にしたほうがよさそうだ。