2025/07/01

路遥「人生」読了

 「人生」の後半は一気に読めた。

加林と高校時代の同級生亜萍は恋に落ちたが、加林に巧珍がいるように、亜萍にも恋人がいた。亜萍の恋人の克南も加林や亜萍の高校時代の同級生である。亜萍と克南は双方の両親も認める仲で、家族ぐるみで親しく付き合いをしている。

あるとき、亜萍の父が南京に転勤することになり、亜萍も南京に行くことを考える。亜萍は「大都会に行けばさらに活躍の場が得られるから、一緒に南京に行こう」と加林を誘う。

加林は派手好きで奔放な亜萍にいらだちながらも、農村の日常生活しか話題のない巧珍にももはや魅力を感じなくなっていた。加林は大都会での亜萍との生活を夢見て巧珍を捨て、亜萍も克南に別れの手紙を書く。

村には加林に捨てられた巧珍を蔑む者もいたが、それでも巧珍と結婚したいという農村の青年と巧珍は結婚する。いっぽう、息子の結婚相手を奪った加林に腹を立てた克南の母が「加林は忖度によって不正な手段で記者の職を手に入れたのだ」と党委員会に告発する。

こうして、加林は職を追われ、亜萍とも引き裂かれて、失意の中で村に帰って農民に戻ることを余儀なくされる。巧珍は加林と別れた後も彼を恨むことなく、有力者である姉の舅のもとに行き泣きながら加林に教師の職を与えてくれるように頼んでいた。そのことを知って、加林は自分にとって本当に大切な女性であった巧珍を失った悲しみに暮れる。


後半のあらすじはこういうものなのだが、意気揚々と成功の道を邁進しているときに過去の行状が暴かれて一気に転落するストーリーがなんとなく「赤と黒」に似ているし、加林と亜萍の性格もジュリアン・ソレルとマチルダに似ている。作中にもジュリアンソレルの名前がちらりとでてくる。ネットで調べてみると、やはり「『人生』は『赤と黒』を参考にしたに違いない」と書いている人もいて、そうなのだろうと思った。

しかし、ある時期の濃厚な中国の雰囲気があって、決して「パクリ」のようなものではなく、これはこれでなかなか傑作だと思う。

次は何を読もう。読みやすいからまた路遥にするかもしれない。

7月 路遥「人生」

 もう半年が過ぎた。

試験も終わって、後処理も済んだ。あとは主任のサインをもらって提出するだけだが、

いつ主任が学校に来るのかの連絡がない。

うちの学部は試験の後処理などの事務処理がだんだん複雑になり、もはや常人が処理できないレベルになってしまっているのではないかと同じアパートに住む先生に言ったら、その人もそう思うと言っていた。いったい何なんだろう、これ。


路遥の「人生」を半分くらいまで読んだ。中国に来たばかりのころ一度買って読み始めたのだが、途中までしか読まないうちになくしてしまった。

農村の秀才、高加林は町の高校を卒業してから(農村なのでそれでも高学歴)、村で学校の教師を務めていたが、地元の有力者のたいして優秀ではない息子にその職を奪われる。こうして、不本意ながら加林は農民となる。村娘の巧珍はかねてより加林に思いを寄せていたが、学校に行ったこともない自分は教師である加林にふさわしくないと思っていた。しかし、加林が農民となったので、思い切って加林に接近を試みて、二人は恋に落ちる。

巧珍は字も読めない娘だが、村の金持ちの娘である。父親が農村の女には学校に行く意味がないと考えていたために聡明であるにもかかわらず学校に行けなかったのだ。

いっぽう、加林は優秀ではあったが、加林の家はまずしく、巧珍の家よりも村では格下とされていた。そのような二人の交際を巧珍の父親はゆるさず、村でも注目の的となったが、加林と巧珍は周囲の咎めるような眼をものともせず、交際を続けた。

その後、軍人であった加林の叔父が村に戻ってきて有力者となったため、加林は村の指導者たちの忖度によって町で記者の仕事を得て、巧珍を残して村を出る。加林は存分に文才を発揮してたちまち気鋭の記者として注目を集めるようになる。かつての高校の同級生であった才色兼備の女性アナウンサーが加林を訪ねてきた。彼女は村娘の巧珍とはちがい知的で加林とは話があう。こうしてこの二人は惹かれあうようになる。

…というところまで読んだ。日本でもそうなのだろうが、中国は今も昔もこういう忖度ばかりで理不尽な国柄。今はそれでも少しはよくなったのかな。そうでもないか。