夫は上海に帰って行った。
最近は上海と周辺都市を結ぶ高鐵のチケットがとりにくいと複数の人から聞いた。
それで目と鼻の先の上海まで帰るのに乗り継ぎで帰るそうだ。
わたしはといえば、昼頃からイオンモールへ。台風の間、家にある食べ物はほぼ食べつくしたので買い出しに。
まずサイゼリアで食事してから、日用品を買い、その後、映画二本連続で見る。
一本目は「祝你幸福」。わたしにとってはあまりおもしろくなかった。息子を亡くした老父母が弁護士をやとって、息子が残した凍結受精卵を手に入れようとするとか、少しも共感できない。その凍結受精卵を育てて子どもにするということでもないのに、手に入れてどうする?と思ってしまった。そういうものをめぐる湿っぽい感情などがたぶん中国人は好きなのだろうなと思った。
二本目は「出走的決心」。これはよかった。実在の女性をモデルにしているらしい。
若い頃には女性だからということで大学進学をあきらめさせられ、一生、下働きの生活をしてきた主人公。彼女はけなげに家族のために尽くして生きるが、夫はそれが当然と思い、文句ばかりを言う。数十年ぶりに故郷の同窓会に行くことになり、楽しみにしていたが、娘が双子を妊娠して入院することになったことから、帰郷を断念しなければならなくなる。次のチャンスも転職する娘のために子どもを見なければならなくなって断念。必死にがんばって運転免許をとったり、車を買ったりするが、夫は彼女を家族をささえる存在としか見ていないために、そうした行動に冷淡な態度をとる。そして、懸命に支えてきた娘までが子どもの世話について彼女に文句を付けた時に、ついに堪忍袋の緒が切れて、彼女は家族を振り切って、車を運転して故郷成都へ向かう。時はまさにコロナのころで道路は封鎖されているが、山道なら通れる。彼女の車が走る道の両側に山地の瑞々しい風景がどこまでも広がる。そしてやっと長年の願いがかなって、ずっと前から同窓会で着ようと思っていた赤いワンピースを着て、友人たちと再会する。
彼女はいまでも夫のいる町には帰らず、自動車で旅する日々をネット配信して生活しているらしい。
家族のケアにあけくれて、自分の人生をいきられない女性は日本にもたくさんいるに違いない。というか、結婚して子どもを産んだ女性の大半がそうだろう。一度きりの人生、ずっと自分を後回しにして人のケアばかりをして終わるのはつまらない。一歩踏み出せれば、そこには別の人生が開けている。
映画鑑賞中、自分の人生を重ねながら、ずっと彼女を応援しつづけた。途中、切ない展開が多くてつらかったが、最後は実在の彼女の笑顔がスクリーンに映し出されて、わたしも笑顔になった。一歩踏み出すって大切よ。
お月様ありがとう~。
返信削除映画も素敵に語ってくれてそれこそ素敵!
ありがとうですにゃ。
霊隠寺の月餅をひとつ食べました。おいしかったです。
返信削除なかなか身につまされます。
返信削除一歩踏みだすのに勇気が要りますね。
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