2021/04/29

「後進国二ホン」の紹介はつらい

 わたしは「日本概況」の授業も担当している。

今年からこの名前になったが、ほとんど同じ内容の授業をずっと何年かやっている。

テキスト通りに授業を進めるわけでもないし、テキストのすべての章を使うわけではないが、一応テキストを指定している。前にも書いたが例の北京大学出版社のやつだ。

テキストの中にはいろいろな章がある。「日本の交通」、「日本の経済」、「日本の企業」、「日本の政治」、「日本のメディア」など。しかし、その内容は十年以上前なら先進国らしい感じに思えるものだったのだろうけれど、今では中国のほうが先を行っていて今さらわざわざいうほどのことでもないことや、時代遅れの制度が書かれていたりして、どういうスタンスでこの本の内容をこなしていったらいいのかさえ分からない。そういうわけで、途中まではテキストに沿って進めるが、かなりの部分は自作の内容で授業をしている。

先週は環境問題を取り上げた。テキストを見ると、日本では高度経済成長期に現れた大気汚染や水質汚染などの公害問題もいまではすっかり解決して環境基準を達成しているだとか、日本ではゴミの回収を始めとしてリサイクルのための行動が根付いているとか、子どもにも「もったいない」などの言葉を教えたり自分で清掃する習慣を身につけさせたりする教育を行っているとか、新しいエネルギーの開発に力を入れているとか、いろいろなことが誇らしげに書かれているが、いままさに中国では「日本の核汚染水の海洋放出」が大問題となっているのであり、それを前にしたら、こまごまとしたゴミの分別なんかたちどころにふっとんでしまうほどちっぽけなことなのである。そして、ついに先週の授業では、日本人のわたしに対してそれを言うのをもうしわけないと思っているような雰囲気ではあったが、「だってそんなことより、日本は核汚染水を海に捨てようとしているではないか」と言う男子学生がいて、冷や水を浴びせられたような気分になった。

それにくわえて、こんなにコロナが広まっても、利権のために手をこまねいている政治家だとか、ジェンダーギャップ120位だとか、「ああ、日本人って世の中に乗り遅れたんだね」という雰囲気である。子どもたち(学生たち)は、アニメかなんかで喜んではいるが、それは「子どもだから」であろう。

そういうことを愚痴っていたら、中国人の先生に「でも、日本だって文化いいと思いますよ。文化ほこっていいんじゃないですか」と慰められた。そう、この「は」は対比の「は」。他の物は「よくない」ということだろう。ほこっていいものから、「経済」も消えたし、「技術」も消えた。これから、だんだん肩身が狭くなりそうだ。



4 件のコメント:

  1. 陳さんもついにスマホで決済するようにしたらしく、私が北京へいったらスマホを買って、お金をチャージしてくれるそうな。とても簡単だってさ。

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  2. 「は〜」って感じですね。

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  3. はあ〜 なんだかねえ〜

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  4. ほ~。たぬきの里のこれぞっていう現代作品は、メリケン国行きのよう。日本で有名になる必要はないみたい。

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