2021/04/13

春月ねいさん、かんちがいなさらないで…

いえ、たまたま読んだらそういう本だったわけで、そういう本だから読んだわけではありません。

昨日家に帰ってから、また少し読んだ。

兄は手術を受けて胸を直し、家に帰る。

ちょうどそのとき妻は弟に連れられて上海にいき「処女膜再生手術」を受けていて留守である。兄は町の人の話から弟と妻の関係を知る。胸の手術の後も化膿してしまう。

兄は二人にあてた手紙を書いて投函し、心神喪失状態で自殺をしてしまう。

その後、弟と妻はそれを知って嘆き悲しむ。弟は兄をなくした悲しみから仕事の場を退く。妻も深く嘆き悲しむが、その後、弟に用立ててもらった金で売春宿を経営して、案外図太く生きていくのである。

あと、数ページ残っているが、そういう話だ。 

中国の経済が急成長をとげた生き馬の目を抜くような時期は、日本でも「中国が熱い」などと報道されていたが、

こういうめちゃくちゃに欲望のままに走り回る人が多かったのかもしれない。

国有企業のような恵まれた場所で安心しておとなしく仕事をしているだけでは世の中から取り残されたり、そうかといって一獲千金を狙って飛び出して行っても成功するとも限らない。また、一度の賭けに打って出たかどうかで天国に行くか、地獄に行くかが決まる。おそろしい時代ともいえるが、確かにあのころの中国はそんなだったのかもしれない。

だけれど、そこで勝つか負けるかは、人が幸せかどうかとはまた違うのだ。人生の賭けに敗れて、社会の底辺で妻と言い争いばかりしているように見える研屋はそれでも幸せだというし、

自殺した兄も誰も恨まずに「自分は幸せだった」と手紙に書いて死ぬ。

そのほかにも、いろいろな人々のいろいろな人生が描かれる。ほんとうに人生は一筋縄ではいかないものなのだ。そういう気がした物語だった。

〇しかし、この小説の兄のような人はよくいる。まじめで遠慮深い。しかし、それが結局は他の人も不幸にしてしまう。遠慮しすぎるのは必ずしもよいことではない。

小説の中でも、弟は当然、兄に手を差し伸べようとするが、兄は別に意地を張っているわけでもないのに、遠慮してしまうのである。弟の会社で要職についたとしても自分はその任に堪えないからと。しかし、弟の会社では、能力のない人たちが弟とかつて縁があったからという理由でたいした仕事もしないのに高額の報酬を得ているのである。結局、兄が弟の援助を受けなかったことで、妻を窮地に立たせて、その結果、彼を裏切るところまで追いつめられるのだ。そして彼が死んだことによって、妻も弟も悲しみのどん底におとしてしまう。

これほどでもなくても、こうやって遠慮しすぎてかえって周囲の人を困らせる人っているよね。ありがとうと言って、援助の手にすがったほうが、みんなの幸せになるのに。


3 件のコメント:

  1. 妻はなぜ「処女膜再生手術」を受けるのですか?

    返信削除
  2. それをわたしにここで説明しろと?

    返信削除
  3. あ、処女コンテストに出るのかな?

    返信削除