2026/01/07

張愛玲『茉莉香片』と今日の仕事

 今日は午前中は大学で4コマ、昼からお寺で2コマ、それから大学に戻って

夜の試験監督。 

最近、いつもお寺の付近は渋滞しているので、場合によってはギリギリに大学に戻ってくることになるかと思ったが、案外余裕で、大学の図書館で本を読んで時間をつぶした。

〇張愛玲『茉莉香片』

「茉莉香片」とは、ジャスミンティーのことだ。略して「香片」ともいう。

そのジャスミン茶のように苦いお話だということから、この小説にこの名が付けられた。

これもまた狂いっぷりが怖い。

 聂伝慶は、女性的で憂鬱な風情の男子大学生である。

 彼は母親を早くなくし、父と継母と一緒に住んでいる。彼の父は伝慶を嫌っており、

時には暴力まで奮う。そのせいで伝慶は難聴ぎみである。

 父が伝慶を嫌っているのは、彼の死んだ母が父を少しも愛さなかったせいである。父は母への憎しみを母亡き後は息子に振り向けたのである。

 あるとき、彼は母が彼の大学の古文教師の言子夜と恋人同士だったことを知る。

 若き日の母と言子夜は家柄が不釣り合いだったために結婚できなかったのだ。言子夜は留学するときに母についてくるように言ったのだが、母には親に反対された結婚をする勇気はなかった。その後、母は伝慶の父と愛情のない結婚をしたのだった。

 伝慶は大学で履修した言子夜の古文の授業に、言の娘である丹朱も出ることを知る。

 丹朱は明るく溌剌とした女子学生で、一人も友人のいない伝慶を気にかけている。

 伝慶は、もし母が言子夜と結婚して自分を生んだのならば、自分は丹朱のように健全に成長して、彼女のように幸せになれたのかもしれないと夢想する。とすると、彼女の今の幸せは本来は伝慶が手にするはずのものだったのであり、彼の幸せを奪ったのは彼女ではないのかと伝慶は考える。

 伝慶は授業中もそのようなことを夢想していたために、あこがれていた言子夜に叱責されてしまう。そのショックから涙をこぼす伝慶を見て、言子夜はますます彼を疎ましく思うのだった。

 年末になり、大学のクリスマスダンスパーティが催される。伝慶はチケットは買ったが、パーティには行かずに夜の山の中をあてもなく歩きまわる。

 大学の近くに来たとき、丹朱を含むクラスメートたちがパーティを終えて帰るところに出会う。丹朱は「伝慶に送ってもらう」と言って、友人たちと別れる。

 丹朱は何か悩みがありそうな伝慶のことを気にかけていた。そんな丹朱に愛憎入り混じった感情を抱く伝慶。しかし、丹朱には伝慶に対する愛情はないことを知る。伝慶は「こんな山の中に二人きりになることがわかっていてついて来るなんて、ぼくが何もできないと見くびっていたからだろう」と言いながら、丹朱に暴力をふるい半死半生の丹朱を山の中に置き去りにして家に逃げ帰る。

丹朱は死ななかった。しかし、また大学の授業が始まれば、伝慶は彼女に会わなければならないだろう。

…というストーリー。この伝慶のモデルは張愛玲の弟だそうだ。張愛玲は李鴻章のひ孫にあたり、人も羨むすばらしい家柄の出身だが、そういう家庭でも幸せとは限らなかったということだろう。

 

 


3 件のコメント:

  1. なんとも凄まじい話ですね。

    返信削除
  2. 実話がベースとは。
    うむむ。

    返信削除
  3. 実際にこの話のようなことがあったのかどうかわかりませんが、伝慶の人物像は弟らしいです。
    母が別の人と結婚して生まれた子が自分のはずはないのに、
    そこから妄想が発展して、他人を憎むあたりがもうめちゃくちゃですね。

    返信削除