次に読む本として「長恨歌」(王安憶)と「人世間」(梁暁声)を購入した。
「長恨歌」は和訳も出版されていて、アマゾンの紹介文を見ると「上海の街を舞台に、美しき主人公・王琦瑶(ワン・チーヤオ)の青春から死に至る四十年を描く長編小説」と書かれている。しかし、読めども読めども「弄堂」や「流言」などについてのエッセイのような文が続き、美しき主人公・王琦瑶の人生の物語がなかなか始まらないので、疲れてしまった。それで、この本はとりあえず後回しにして、「人世間」を読もうと思ったが、これは「平凡的世界」に勝るとも劣らないほどの大作。やっと「平凡的世界」を読み終わったばかりのわたしは、やはり一息ついてからこれを読みたい。
そこで、アマゾンで柚木麻子の「BUTTER」を買って読んだ。なにしろこの作品は海外でもたいそう高い評価を得ているらしいから。しかし、中国のあまりにも骨太の小説「平凡的世界」を読み終わったばかりのせいか、こうした現代女性の細かい心のひだを表現したような小説はあっさりと感慨もなく読み終えてしまった。主人公の心の変遷はわかった。それよりも、容疑者梶井は本当に殺人を犯したのかという問題ばかりが気になってしまったわたしは文学を味わうコードをもっていないのかもしれない。
〇相続というものは揉めるものらしい。
しかし、最近母を亡くしたわたしたち兄妹は、もともと仲がいいわけでもないのに、もめなかった。
母は相続についての遺言を書き残していた。遺言がなければ均分相続になるのだが、母が遺言を書いたということは、それはとりもなおさず兄に多くを残したいという意志の表れである。
最後に「兄妹なかよくしてください」と書いてあったが、「妻にも子どもにも見放された兄を見放すな」という意味にわたしは解釈した。
わたしも妹もだまってハンコをおしてハンコ代をもらった。
兄はこれで家と預金の大半を手にしたが、将来、負動産になるかもしれない家と、兄の次は跡取りのない墓の始末も兄の仕事になったわけである。
兄の子どもたち二人はもはや兄とは連絡もとりあっていないらしい。賢い人たちらしいから、この先もわざわざ兄と連絡をとりあって、面倒を背負いこむことはないだろう。
親もなくなったし、親の財産のほとんどを兄が手に入れたのだから、わたしももう実家のことにはかかわらないつもり。「兄妹仲良く」しなくてごめんね、お母さん。でも、いがみ合うよりはいいでしょう?
私も実は病室で母親に「弟の面倒をよろしく」なんて言われたら、一生許せないかも、と思ったけど言われなかったので、よかったです。
返信削除母親の「資産」はほとんどありませんが、「土地は私、上物が私だから」と言ったら新潟の従兄が「東京の家は?」と聞いてきて、「あっちは弟の名義だし(父親の時に私と母親は相続放棄した)」と言ったら納得したようで、なんだかな~、でした。
あんなところ、いずれ「負動産」になるに決まっているのに、引き受けようとしているのにね~。
わたしの実家も1990年代に不動産屋にかなりの額で売れると言われたということで母はずっとその金額だと思っていたようですが、
返信削除あのあたりは人口が減っているし、負動産が増えているようです。ニュースで数百万円で家が売りに出されても買い手がつかないと言ってました。